薬剤師としての勤務時代
さまざまな出逢いの中で、
「癒す」「癒される」とは何か・・・
ということをずっと考えてきたように思います。
その方医療が提供され、薬が処方され、ガイドライン上は何も問題がなく、科学的には効果が出るはずの対処なはずなのに、医療を受けたその人や家族の目に「希望」や「期待」が感じられず、本来医療を受けた後に起こるはずの「安心感」「癒し」とかけ離れてしまったケースに出逢うと、胸が締め付けられるような思いでした。
「薬局」は医療を受けられた方が、
最後に通る「医療の門」
医療に対して、医療者に対して、薬に対して
はたまた制度やシステムに対して・・・
そして自分自身の感覚や、感じているはずの痛みや苦しみ、今後迎えるはずだった未来に
疑問や不信、不満を抱いたまま 帰宅されていく
「この状態のまま、いつもの日常に帰したくない」
そう思っても・・・
当時「お薬を処方通りお渡しする」以上に何ができるのか見出すことができず
葛藤を抱えた日々を過ごしていました。
病や不調に全身全霊で向き合う患者様やご家族
思い切って飛び込んだ製薬現場での様々な出逢い
震災直後の町で出会った患者様、医療者の方々
崩れた精神によって起こる身体の重さ
「薬剤師」を離れて過ごした時間
これら、かけがえのない出逢いの中で、科学や言葉で表現することのできない「こたえ」のかけらを見つけ出すことができたのだと思っています。
店名を決める際、この場所ではそれぞれの方が持っている「巡り」を知り、自分を見つめるような時間を過ごしていただきたい・・・という想いから
流れを意味する「Flow」や「巡り」「循環」のようなキーワードを入れたいと思っていました。
そして、ここは不調をきたしていたり、何かが違うと感じている方々が「自然な流れ」を求めていらっしゃる場所であること。
その「自然」が求めている流れはどのようなものか、じっくりと探ることができる場所であること。
人それぞれ異なる「自然な形」をご提案したい、「薬店」であるための最低限の表記は必要だけれど・・もっと自然を感じられる名前がいいな。
お一人ずつ、ゆっくりとお話を伺える環境である
大自然の中に佇む、「小さな」薬店であることも強調したい。
そんなこんなで
「草薬庵 nature flow」となりました。
突然起こる、立っていられないほどの激しい腹痛や頭痛、言葉で表現するのが難しいですが異常な倦怠感、身体の重さ・・・
かつては、自分の身体に自信を持てず、大事な用事も急なドタキャンを繰り返さなければいけない自分の身体を信用することができませんでした。
「繊細」「弱い」と言われたくなくて、不調を隠すために、消し去るために
どうしたら良いか・・・と探し求めてばかりいた時期は、なんだか息苦しかったように思います。
「私、繊細で・・・」
「実はとっても弱いです」
「辛いので休ませてください」
素直に話せるようになったあたりから、不調は不思議なほど落ち着きを取り戻したように感じています。
あの不調は
頑張りたい、こうしたい、という私の想いを尊重したからこそ
身体はその状況に合わせて動いてくれていたわけで、その結果・反動として起きたもの。
(※人それぞれ、病や不調発症のケースは異なります)
そう考えられるようになってから、呼吸が深くなりました。
こんな私だからこそ、できることがある。
そう信じて、日々の業務に取り組んでおります。